新刊ではない(2014/1/8発売)のですが、いつも使っているAmazonのことを全然知らないので読んでみましたよ。
固有名詞がたくさん出てきて、私の脳の具合により読了まで時間がかかりましたが、内容はとても面白かったです。
創業者ジェフ・ベゾス氏のほぼ伝記であり、Amazonスタートアップからの履歴や戦略が垣間見れ、まるでIT戦国物語のようです。翻訳が未熟ではないかとのレビューがありましたが、比較的カジュアルな言葉選びで勢いがあり、私は好きです。
Amazonが日本語サイトをオープンしたのは2000年、どんどん文字通りのエブリシング・ストアとなってゆき、キンドル発売、プライム開始、動画ストリーミング時代へなど、「あったねー!」と思いあたることばかり。どれだけAmazonが実生活に関わってきているのか分かります。Amazonがなかった時代と、Amazonがある時代では違う世界になったかのような気がします。「それほどのイノベーションを起こす起業家、まさに現代の武将!」と本を読みながらおせんべいが止まりません。
専門サイトを買収後オムツなども扱うようになり、2007年に日本でもベビー&マタニティストアがオープンするのですが、息子の誕生がちょうど2007年で、Amazonに頼ってピンチを切り抜けることが多かったと記憶しています。(他のベビー用品サイトは発送が1週間後などが普通で、少し時期がずれていたらさらに厳しい育児環境になっていたのかもしれません)
かつて出版社に勤めていて、現在も出版関係のお仕事をしているので、出版界がAmazonに抱いてきたイメージをうっすら肌で感じることができたのではないかと思います。(一部ではありますが)
今は書籍に限ったというイメージはないですが、元々「世界最大の書店」として誕生したAmazon。
よく分からないけどなんかすごいね
↓
既存書店の営業妨害になるので拒絶すべし
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無視はできないしもう戦えないけど気持ち的に無理
みたいなイメージを持たれてきたのではないかな?という気がします。(重ねて言いますが一部です。ちゃんと理解してる人もたくさんいます)
本の中にも米国の出版社との交渉で出版界が「よく分かってなかった。ぼんやりしてた」みたいな箇所が出てくるのですが、出版界の人間の多くが文系でセンシティブであり、数字と物理による戦闘力は弱い気がします。
ある出版社内で「キンドルってなんだろう? 使ってみよう!」みたいな講習会が開かれていたのを小耳にはさんだのも、キンドルが発表された2007年ではなく、2016年くらいのことで、非常に驚きました。(私は2012年くらいから何台かキンドルを使っていますが、使い方はいまだによく分かっていません)
世界最大の書店戦略の中で、初期におすすめをセレクトしていた編集者たちがbotにより駆逐されていったできごとも象徴的です。
その後、メールによるセールスをbotではなくライターに書かせてみよう的な試みが出てきますが、本の中ではそれほど成果をあげていないようでした。(最近はどうなっているか分かりません)
個人的なエピソードはそれほど出てこないのですが、実父の話の部分は非常にドラマチック。この著者はゴミ箱から宇宙事業の件をすっぱ抜いたり、仕事が本当にすごいです。
ところで、倹約のポリシーを表現するため、〝ドア材で作った机〟というものが何度か出てくるのですが(ドア材で作るのが一番安いらしい)、そのイメージがよく分からないのでAmazonで「ドア材の机」を取り扱ってほしいと思います。「ドア材」で検索してもそれらしきものはヒットしませんでした。
現在もあるかどうか不明なのですが、Amazonにはジェフ氏に届く公開されたメールアドレスがあるらしく、一顧客のクレームに対してジェフ本人が対策を命じることもあるようです。が、私にはメールを送ることはできません。怖いです。